投資信託で発生する「隠れコスト」の見方を解説します

投資信託の隠れコスト投資

投資信託の隠れコストについて聞いたことがある方もいると思います。ただ、目論見書からは読み解くことができないし、なんとなく難しそうに感じて勉強することを後回しにしている方は多いのではないでしょうか。

今回の記事では、そんな隠れコストの見方を踏まえた実質コストについて、人気の投資信託「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を比較してみました。

記事を読んで分かること
  • 投資信託のコストや種類について分かる。
  • 投資信託の隠れコストの見方が理解できる。
  • 実質コストの計算ができるようになる。
  • 「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の実質コストが分かる。

この記事を読むことで、投資信託を保有する際に発生するコストや、通常目に見えない隠れコストについて理解することができます。隠れコストを踏まえた実質コストが理解できるようになりますので、今後は同じような指数に連動した投資信託を見比べて、適切な方を自身で選択できるようになります

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投資信託のコスト

投資信託で発生する主なコストの種類は以下の通りです。特に隠れコストについては、ぱっと見て分からなかったりするため、スルーされがちですが重要なコストですので理解しておきましょう。

購入時手数料(販売手数料)とは

購入時手数料(販売手数料とも言います)とは、投資信託を購入する際に、一度だけ一定の割合で支払う手数料のことです。たとえば、10万円分の投資信託を購入する場合に、5%の購入手数料がかかると、100,000円*0.05(5%)=5,000円の手数料を支払う必要があります。

また、ノーロードと書かれた投資信託の場合は、この購入時手数行が無料であることを表しています。

信託財産留保額とは

信託財産留保額とは、投資信託を解約する際に、支払う手数料のことです。解約をする際に、投資信託を現金化する必要があるため、そのために発生した手数料のことを指します。

正確には、手数料として販売会社や信託会社の収益になる訳ではなく、換金時に発生する手数料分を投資信託に戻すことで、投資信託の価値を下げずに換金手数料分のみを解約する方が支払う仕組みです。

信託報酬(運用管理費用)とは

信託報酬(運用管理費用とも言う)とは、投資信託会社が運用のために必要な経費や運用報酬をまかなうために設定されています。具体的には、投資先の情報収集や分析、運用報酬などが含まれます。
投資信託によっては、信託報酬の中に、販売手数料や信託財産留保額などが含まれる場合もあります。

また、今回の「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」のように、同じ投資先を持つ投資信託でも、信託報酬が異なることがあります。その場合同じ投資先であれば手数料が少ない方が良いということになります。

また、信託報酬が低いインデックスファンドの方が、信託報酬が高いアクティブファンドよりも比較的成績が良いということがあります。信託報酬が高い場合は、運用成績によって投資家にとって十分なリターンが得られるかどうか、慎重に検討する必要があります。

隠れコストとは

隠れコストとは、信託報酬や販売手数料などの明確な費用以外に、投資家が気づかないで支払う費用のことを総称して指します。

これらの隠れコストは、投資信託会社や証券会社が受け取る利益の一部であり、投資家が意識しないままに支払うことになります。投資家がコストを抑えるためには、隠れコストも含めた実質コストを比較して、低コストの投資信託を選ぶことが大切です。

各コストの確認手順

購入時手数料、信託財産留保額、信託報酬の確認手順

以下3つのコストについては、投資信託の目論見書で確認することができます。

  • 購入時手数料
  • 信託財産留保額
  • 信託報酬

多くの目論見書の「手続・手数料等」という項目の中に記載されています。

今回比較対象としている投資信託「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の目論見書についても、リンクを貼りますので手元で確認してみてください。

「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」交付目論見書

「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」交付目論見書

隠れコストの確認手順

隠れコストは、目論見書でいう「その他費用及び手数料」と記載のある部分になります。目論見書からは具体的な費用を確認することはできません。そのため運用報告書の内容を確認する必要があります

また、信託報酬等についても、目論見書に書かれている数字はあくまで目安のため、実際にどのくらいの費用がかかったかを確認するためには運用報告書での確認が必要になります。

具体的には、運用報告書の「1万口当たりの費用明細」という項目の以下数値を合計すると隠れコストについて確認することができます。

  • 売買委託手数料
  • 有価証券取引税
  • その他費用

実質コスト(SBI・V・全米株式インデックス・ファンド)

購入時手数料

なし
「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」は購入時手数料がありません。

信託財産留保額

なし
「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」は信託財産留保額がありません。

信託報酬

年0.0938%(税込)程度
年0.0638%(税抜:年0.058%)+元となるETFの手数料年0.03%程度

ファンド(税抜:年0.058%)の内訳は以下の通りです。

支払先配分
(税抜)
委託会社(運用会社)年0.022%
販売会社(SBI証券)年0.022%
受託会社(信託銀行)年0.014%
参照:SBI・V・全米株式インデックス・ファンド目論見書より

隠れコスト

隠れコストは、「売買委託手数料」「有価証券取引税」「その他費用」を合計した値となるため以下の通りとなります。

年0.017%

項目比率
信託報酬0.066%
売買委託手数料
有価証券取引税
その他費用0.017%
参照:SBI・V・全米株式インデックス・ファンド運用報告書より

実質コスト

すると、運用報告書を加味した実質コストは以下のようになります。

項目比率
購入時手数料なし
信託財産留保額なし
信託報酬0.066%+0.03%
売買委託手数料なし
有価証券取引税なし
その他費用0.017%
合計0.113%
参照:SBI・V・全米株式インデックス・ファンド運用報告書より

実質コスト(eMAXIS Slim 米国株式(S&P500))

購入時手数料

なし
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は購入時手数料がありません。

信託財産留保額

なし
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は信託財産留保額がありません。

信託報酬

年0.09575%(税込) ※純資産総額1兆7,000億円とした場合

内訳は以下の通りです。

純資産総額信託報酬率
(税込 年率)
支払先配分
(税抜)
500億円未満の部分0.09680%委託会社(運用会社)年0.034%
500億円以上
1,000億円未満の部分
0.09625%販売会社(楽天証券等)年0.034%
1,000億円以上の部分0.09570%受託会社(信託銀行)年0.020%
参照:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)目論見書より

隠れコスト

隠れコストは、「売買委託手数料」「有価証券取引税」「その他費用」を合計した値となるため以下の通りとなります。

年0.016%

項目比率
信託報酬0.097%
売買委託手数料0.004%
有価証券取引税
その他費用0.012%
参照:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)運用報告書より

実質コスト

すると、運用報告書を加味した実質コストは以下のようになります。

項目比率
購入時手数料なし
信託財産留保額なし
信託報酬0.097%
売買委託手数料0.004%
有価証券取引税なし
その他費用0.012%
合計0.113%
参照:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)運用報告書より

両者を比較

それでは、あらためて「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の実質コストを比較してみます。

実質コスト

項目SBI・V・全米株式インデックス・ファンドeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
購入時手数料なしなし
信託財産留保額なしなし
信託報酬0.096%0.097%
売買委託手数料なし0.004%
有価証券取引税なしなし
その他費用0.017%0.012%
合計0.113%0.113%

なんと、「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の実質コストは全く同じ結果となりました。
運用報告書の対象となる期間がそれぞれ異なるため、完全に同じという訳ではありませんが、この2つの投資信託にはそこまで大きな違いはないということが分かりました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は投資信託の疑問、隠れコストについてどのように確認すれば良いかという見方を解説しました。

  • 購入時手数料
  • 信託財産留保額
  • 信託報酬
  • 売買委託手数料
  • 有価証券取引税
  • その他費用

投資信託には実質的にこれだけのコストがかかっています。そのため、投資信託を選ぶ際には、信託報酬だけでなく、販売手数料や信託財産留保額など、その他の費用についても確認することが重要です。投資信託を運用していくには、一定の費用がかかることを理解したうえで、それ以上のリターンが見込めるかなど自分に合った投資信託を選ぶことが大切です。

払わなくて良いコストは安く運用して、複利で効率良く資産形成を加速させていきましょう。

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